“会社”という発明が賞味期限切れをおこしている

ファシリテーションは必要なれど…

ここまで、ファシリテーションの必要性やツールを紹介してきましたが、コラムを書いていて気づいたことがあります。それは、「プロジェクトをよりよいゴール・目標に導くためのファシリテーション」ではなく、「不毛な議論や非効率なミーティング・意思決定を防ぐためのファシリテーション」になっているのではないかということ。ここには、最近、私がよく話をさせていただいている「会社という発明品が賞味期限切れを起こしている」。という問題があるように思い、今回、コラムテーマとさせていただきました。

“会社組織”が必要だった時代

ご存じのように、元々、仕事は、それぞれの持っている資産を使って自分で商売をしていました。農家が農作物を作り、それを販売する。手に職をもつ職人がその技をもって仕事とする。つまり全員が独立自営業。それが産業革命以降ぐらいでしょうか、一つ場所(工場、オフィス)に全員が決められた時間に集まり、「よーい、どん!」で仕事をする。その結果大量生産が可能になり、これらの人を束ねる、もしくは役割分担を行う=経営と労働の分離を行うことで、より効率的に商流を形成。さらには経営と資本も分離させ、どんどん効率を追求していきました。全業種が右肩上がりの時はこれが効率的でした。

これからの時代に“会社”は必要か

もちろん、これからの時代も“会社”は必要です。ただし、これまでのように、ひとつのゴールを達成するために、会社構成員全員が同じ時間に同じやり方で動けるためにかかる必要経費と、その経費をかけずに、それぞれが自分のやり方で一つのゴールを目指すやり方と比べた場合、後者の方が費用面で効率的であることは明らかです。そしてそれはITによって簡単に実現できるようになりました。現にアメリカでは現在、働いている人の実に3割が「フリーエージェント」といわれる、組織に属さずに働いている方だといいます(※)。
私もそのうちの一人ですが、仕事がら大規模な設備投資は必要ないため、オフィスは自宅(つまり自室がオフィス)。社員は経理担当者1名のみ。最近はやりの「ノマド型」で仕事をしていますが、今後、こういう働き方をする人はもっと増えると思います。

※フリーエージェント社会の到来 ダイヤモンド社

フリーエージェントの時代を生き抜くために必要なこと

では、こういう時代に生き抜くためには何が必要でしょうか。私は、
①社会から対価を得られるなんらかの技術をもっていること
②その技術提供によって得られる対価(≒お金)で幸せに暮らせること

の2点だと考えています。
これは起業を目指している方にいつも言っていることなんですが、「働く」最終目的は「(幸せに)生きること(死なないこと)」です。その上で、自分が生きるためにはいくらのお金が必要なのか。そこから逆算して、自分自身はそれだけの報酬を得られる技術を持っている(お客様に認知されている)のか、と考えていく。その上で、自分一人でそれを達成できれば、一人でやればよい。一人だけで達成できなければ、それを補ってくれるチーム(組織)を作ればよいわけです。

企業のコンプライアンスやルールが厳格化されればされるほど、1個人としての価値観は最大公約数として犠牲にしないといけなくなります。理想はそれをも実現できる“NEO組織“ですが、なかなか肥大化した企業にはそう簡単にできることではありません。

私が目指すファシリテーションとは、企業内でなかなか突破できない、こうした課題をまずはプロジェクト単位から突破していこうという考えからなのです。

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