ファシリテーター3年目にして思うこと
ファシリテーターという職業を掲げて丸3年になりますが、去年から徐々にしっかりとその役割が果たせているのではないかと思っています。行政、大学、企業といろいろな場所で、プロジェクトの参加者の皆さんが、将来ビジョンを策定したり、新規事業を考えたり、販促施策を企画をしたりするお手伝いをしていて、今のところ良い結果が出せてるのではないかなあと思っています。
その成功のポイントを考えてみると、どうやら、私が仕事に対して考えている「ささやかな幸せ」があるんだなと思います。
いかに参加者の「幸せ感」と共振できるか
私はこの2月で、独立して9年目を迎えました。「心の病」がきっかけになった独立でしたので、とにかくその時考えていたのが、「家族がにこにこ暮らせるだけでいいや。そんなささやかな幸せのために働こう」ということ。
ですので、そうするためには、自分が幸せであるだけでなく、一緒に取り組む方々も幸せを感じてもらわないとうまくいきません。常に参加者全員がWIN-WINの関係でいられるからこそ自分も幸せを感じられる、そう思って真面目に仕事をしてきた結果、参加者(仕事の場合はお客様や外注先)の皆さんにも幸せを感じてもらえるファシリテーションができているのではないかと思います。
大学でのキャリアデザイン講義
また、独立して間もなく、大阪市立大学で「キャリアデザイン論」を教えるようになったことも影響しています。まったく就職活動をせずに入ったリクルートと好きなことをしたいと転職した音楽系の制作会社。ともに私自身はかなり精神的に苦しい仕事でした。結果、「心の病」にかかり独立をしたんですが、こういう苦い経験を、できれば後輩や生徒にはさせたくない。自然と、彼らそれぞれの「幸せ観」に寄り添うようになりました。全員が一番を目指す必要はなく、ましてや有名企業に就職することが幸せではまったくありません。大切なのは、いかに自分の適性にあった場所で、毎日楽しく働けるかです。私のような超零細企業であっても、仕事が楽しければハッピーです。それは自分のしたいように仕事ができるから。学生にはそんな会社を見つけてほしいと思っています(もちろん社会人としての基礎を身につけるための真面目さ努力は必要です)。この大学での講師経験も私のファシリテーション法には影響していると思っています。
プロジェクトの成功は参加者の幸せ
話をファシリテーションに戻すと、その成功失敗は、ファシリテーターが、プロジェクトがゴールにたどり着いた時に、いかに参加者の皆さん全員が幸せをイメージできるかだと考えています。ゴールが達成できても、そこに個人個人の幸せが実現しているイメージが描けなければ、参加者は本気になって取り組めるわけもありません。言い換えれば、プロジェクトのゴールと参加者の幸せが一致しさえすれば、後は勝手にプロジェクトはいい方向に向かっていきます。ファシリテーションにはスキルも重要ですが、私はこの思いが一番重要だと思っています。
「全員経営」はまさしく、幸せの共振の成功例
今年早くもベストセラーとなっている「全員経営―自律分散イノベーション企業 成功の本質(野中 郁次郎)」」は、まさしく、大手企業でこの幸せの共振を行い成功した事例が、理論とともに書かれていて、とても参考になります。大企業だからこそ、働く個人=従業員のモチベーション=働く意味=幸せかどうかをいかに仕事に重ね合わせる仕組み(組織)ができているかが重要だということがわかります。いろんなビジネス書を読みますが、最終的な主題はここに帰結しているように思います。
ビジネスマンだけでなく、これから就活する学生には、ぜひご一読を。