採択される事業計画には「儲かる理由」がある

補助金申請に必要な利益につながる事業計画のイメージ

補助金申請で問われるのは、文章力ではなく事業の筋の良さ

補助金申請というと、どうしても「申請書をうまく書くこと」が重要だと思われがちです。もちろん、分かりやすく書くことは大切です。審査員に伝わらない計画は評価されません。

しかし、より大切なのは、その計画に事業としての筋が通っているかどうかです。補助金は、事業者が投資を行い、その結果として売上や利益、付加価値、生産性などを高めることを期待して設計されています。つまり、申請書で問われているのは「この計画は本当に儲かるのか」ということです。

ここでいう「儲かる」は、単に短期的にお金が増えるという意味ではありません。事業を継続できるだけの利益を生み、従業員や取引先、地域にもよい循環をつくれるかどうかです。

儲けの構造は、とてもシンプル

事業計画を考える時、最初に確認したいのは儲けの構造です。難しく考える必要はありません。基本はとてもシンプルです。

儲け=売上-経費。売上=単価×販売数。経費=製造原価+販管費。

この式に当てはめると、利益を増やす方向は大きく二つに分かれます。一つは売上を増やすこと。もう一つは経費を減らすことです。

売上を増やす場合は、客数を増やすのか、購入単価を上げるのか、リピートを増やすのか、新しい市場を開拓するのかを考えます。経費を減らす場合は、作業時間を短縮するのか、製造原価を下げるのか、事務作業を効率化するのか、人員配置を見直すのかを考えます。

採択される事業計画に必要な儲けの基本構造を示す図

補助金の事業計画書では、このどこに取り組むのかが見えないと弱くなります。「新しい設備を導入します」だけではなく、その設備によって売上がどう増えるのか、または経費がどう下がるのかまで説明する必要があります。

設備投資そのものは目的ではない

補助金では、設備やシステムの導入が対象になることがあります。しかし、審査されるのは設備そのものの良し悪しではありません。その設備を使って何を変えるのかです。

たとえば、機械を導入して作業時間を短縮するなら、どの工程が何分から何分になるのか。その結果、従業員の負担がどれだけ減るのか。空いた時間を何に使うのか。生産量が増えるのか、品質が安定するのか、納期が短くなるのか。

ITツールを導入する場合も同じです。会計ソフト、販売管理システム、予約システム、セルフオーダーなどは、導入しただけでは成果になりません。入力作業が減る、ミスが減る、数字が早く見える、接客に使える時間が増える。こうした効果が事業の利益につながることを示す必要があります。

採択される計画には、投資と成果のつながりがある

採択されやすい計画は、投資内容と成果のつながりが明確です。

現状にどのような課題があるのか。その課題を解決するために、なぜその投資が必要なのか。投資によって業務や商品、サービスがどう変わるのか。その結果、売上増または経費削減にどうつながるのか。ここが一本の線でつながっている計画は、読み手にも納得感があります。

反対に、弱い計画は途中が抜けています。「人手不足なので設備を入れます」「売上を増やしたいので広告を出します」といった説明だけでは、なぜその方法が最適なのか、どのように利益につながるのかが分かりません。

補助金申請では、経営者が普段感覚的に考えていることを、審査員にも伝わるように組み立てる必要があります。

数字は、計画を強くするために使う

事業計画に数字を入れるのは、見栄えをよくするためではありません。計画の実現性を確認するためです。

何人の客数を増やすのか。単価はいくら上がるのか。作業時間は何時間減るのか。原価率はどれだけ下がるのか。投資額を何年で回収するのか。こうした数字があると、計画は具体的になります。

もちろん、未来の数字を完全に当てることはできません。しかし、根拠のある仮説を置くことはできます。現在の売上、既存客数、平均単価、作業時間、経費、利益率などをもとに考えれば、計画は単なる願望ではなくなります。

補助金申請は、儲かる理由を言語化する作業

補助金の事業計画書は、単なる申請書ではありません。自社がなぜその投資を行い、その結果どう利益を生み出すのかを言語化するものです。

売上を増やすのか、経費を下げるのか。そのために何を変えるのか。どの数字がどう動くのか。ここを整理することで、補助金申請だけでなく、実際の経営判断も強くなります。

採択される事業計画には、必ず儲かる理由があります。きれいな言葉を並べる前に、まずはその理由を経営者自身が説明できる状態にすることが大切です。

※補助金申請や事業計画づくりで出てくる「認定経営革新等支援機関」については、こちらの記事で整理しています。
認定経営革新等支援機関とは何か

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