補助金を使う前にどんぶり勘定から抜け出す

どんぶり勘定から数字を見える化して補助金活用を考えるイメージ

補助金の前に、自社の数字が見えているか

補助金を活用したいと考える時、最初に確認したいことがあります。それは、自社の数字が見えているかどうかです。

売上はなんとなく分かっている。経費も大体分かっている。利益は通帳の残高を見れば分かる。こうした状態を、一般的に「どんぶり勘定」と言います。小さな会社では珍しいことではありません。日々の仕事を回すことで精一杯で、数字の整理が後回しになることはよくあります。

しかし、補助金を使って投資を行うなら、どんぶり勘定のままでは危険です。なぜなら、投資によって何がどれだけ良くなるのかを説明できないからです。

補助金申請では、投資効果を説明する必要がある

補助金は、単に設備やシステムを導入するためのものではありません。その投資によって、売上が増える、経費が下がる、生産性が上がる、付加価値が高まる。こうした効果が期待されている制度です。

そのため、申請では投資効果を説明する必要があります。新しい設備を入れることで、作業時間がどれだけ短くなるのか。システムを導入することで、事務作業がどれだけ減るのか。広告や販促に取り組むことで、どの客数や単価に効くのか。

ここで数字が見えていないと、計画は弱くなります。「効率化します」「売上を増やします」だけでは、どの程度の効果があるのか分かりません。審査員にも伝わりませんし、経営者自身も投資判断ができません。

どんぶり勘定から抜け出すとは、難しい会計をすることではない

どんぶり勘定から抜け出すというと、難しい財務分析をしなければならないように感じるかもしれません。しかし、最初から高度な分析は必要ありません。

まずは、売上、経費、利益を分けて見ることです。売上は、単価と販売数に分ける。経費は、仕入や製造原価と、販売管理にかかる費用に分ける。人件費や外注費、広告費、家賃、システム利用料などを大まかに把握する。

それだけでも、見え方は変わります。どこで利益が出ているのか。どこにムダがあるのか。売上を増やす余地があるのか、経費を減らす余地があるのか。補助金で何に投資すべきかが考えやすくなります。

IT活用は、良い意味で「楽して儲ける」ための手段

数字を見える化するためには、ITの活用が有効です。会計ソフト、販売管理システム、POSレジ、予約管理、在庫管理など、業種に応じて使える道具は多くあります。

IT活用というと難しく感じるかもしれませんが、目的はシンプルです。手作業を減らし、ミスを減らし、数字を早く見えるようにすることです。

私は、IT活用は良い意味で「楽して儲ける」ための手段だと考えています。楽をするというのは、手を抜くことではありません。人がやらなくてもよい作業をシステムに任せ、人は判断や接客、企画、改善など、より価値の高い仕事に時間を使うということです。

補助金は、こうしたIT導入や設備投資のきっかけとして活用できる場合があります。ただし、その前提として、何を楽にしたいのか、どの数字を改善したいのかを把握しておく必要があります。

数字が見えると、補助金の使い道が変わる

どんぶり勘定のままだと、補助金の使い道は「買いたいもの」から始まりがちです。新しい機械が欲しい。システムを入れたい。ホームページを作りたい。広告を出したい。

しかし、数字が見えてくると、考え方は変わります。どの工程に時間がかかっているのか。どの商品が利益を出しているのか。どの顧客層が伸びているのか。どの経費が重くなっているのか。

そうすると、投資の優先順位が見えてきます。機械を入れるべきなのか、システムを入れるべきなのか、広告より先に商品設計を見直すべきなのか。補助金を使う前に、経営判断そのものが整理されます。

補助金申請は、数字に基づく経営へ変わるチャンス

補助金申請は手間がかかります。公募要領を読み、計画を作り、見積を取り、数字を整理し、申請書にまとめる必要があります。

しかし、その手間には意味があります。これまで感覚で判断していたことを、数字と言葉で整理する機会になるからです。

どんぶり勘定を完全になくす必要はありません。経営には感覚も必要です。ただし、感覚だけでは補助金申請も投資判断も弱くなります。感覚に数字を足すことで、計画は強くなります。

活用できるものは活用する。ただし、目的を間違えない

国や自治体には、さまざまな支援制度があります。商工会議所、よろず支援拠点、事業承継・引継ぎ支援センターなど、無料で相談できる支援機関もあります。活用できるものは活用しないともったいないと思います。

ただし、支援制度は目的ではありません。補助金を使うことが目的ではなく、自社の事業を良くすることが目的です。

そのためには、まず自社の数字を見ることです。売上、経費、利益を整理し、どこを変えれば事業が良くなるのかを考える。そのうえで、必要な投資があり、制度が合うなら補助金を活用する。

補助金を使う前に、どんぶり勘定から抜け出す。これは、採択のためだけでなく、事業を強くするために必要な準備だと考えています。

※補助金申請や事業計画づくりで出てくる「認定経営革新等支援機関」については、こちらの記事で整理しています。
認定経営革新等支援機関とは何か

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