考えがまとまらない時は、いきなり答えを探さない
会議や打ち合わせをしていると、さまざまな意見やアイデアが出てきます。前回のコラムで取り上げたブレストのように、まずは自由に意見を出すことはとても大切です。
ただし、出てきた意見をそのまま眺めているだけでは、次に何を考えればよいのか分からなくなることがあります。アイデアはたくさんあるのに、結論に近づかない。課題は見えているのに、どこから手をつければよいか分からない。こういう場面は少なくありません。
そこで役立つのが、ロジックツリーです。
ロジックツリーは、課題や論点を枝分かれさせながら分解し、抜け漏れや重複を確認するための考え方です。いきなり答えを探すのではなく、考える順番を整理するための道具だと考えると分かりやすいと思います。
ロジックツリーは、議論を整理するための道具
ロジックツリーというと、少し難しいフレームワークのように聞こえるかもしれません。しかし、基本はシンプルです。
まず、一番上に考えるべき課題を置きます。次に、その課題をいくつかの大きな要素に分けます。さらに、それぞれの要素をもう一段階、二段階と細かく分けていきます。
たとえば、「売上を伸ばすには」という課題であれば、いきなり具体策を出すのではなく、まず「客数を増やす」「客単価を上げる」「購入頻度を上げる」といったように分解します。そのうえで、それぞれについて何ができるかを考えていきます。
このように分けて考えることで、議論があらぬ方向に広がることを防ぎやすくなります。

ロジックツリーの基本的な使い方
ロジックツリーを使う時は、難しく考えすぎる必要はありません。会議のホワイトボードやオンラインの共有画面でも十分使えます。
基本的な流れは、次の通りです。
• まず、考えるべき課題を一番上に書く
• その課題を、大きな分類に分ける
• 分類ごとに、さらに細かい要素へ分ける
• それぞれの要素に対して、具体策や原因を考える
• 最後に、抜け漏れや重複がないかを確認する
ポイントは、最初から正解を出そうとしないことです。まずは全体を見える形にして、どこを深掘りすべきかを確認します。
だいたい三階層程度まで分解すると、考えるべきことがかなり具体的になります。細かくしすぎると逆に分かりにくくなるため、最初は三階層くらいを目安にすると使いやすいです。
最初の分け方が大事になる
ロジックツリーで特に大切なのは、最初の分け方です。ここが曖昧だと、その後の整理も曖昧になります。
たとえば、「人材不足」という課題を考える場合、いきなり「採用する」「外注する」「残業で対応する」と具体策を並べると、議論が散らかりやすくなります。
まずは「採用で対応する」「既存人材の活用で対応する」「業務量を減らす」「外部資源を使う」といったように、大きな方向性で分ける。そのうえで、それぞれの具体策を考える方が、抜け漏れが少なくなります。
元原稿では、二分化する例として「自社で行うか、外部に頼むか」という分け方が出てきます。こうした分け方は、議論を前に進めるうえでとても有効です。
MECEは、抜け漏れと重複を減らすための考え方
ロジックツリーを作る時によく使われる考え方に、MECEがあります。
MECEは、「漏れがなく、ダブりもない」状態を目指す考え方です。分類に抜けがあると重要な論点を見落としますし、分類が重複していると同じ話を別の場所で何度も議論してしまいます。
ただし、実務ではMECEを完璧にしようとしすぎる必要はありません。分類をきれいに作ること自体が目的になってしまうと、本来考えるべき課題から離れてしまうからです。
大切なのは、「大きな見落としはないか」「同じ話を重ねていないか」を確認することです。ロジックツリーは、きれいな図を作るためではなく、考えるべきことを見える化するために使います。

ブレストの後に使うと効果的
ロジックツリーは、ブレストの前にも後にも使えますが、特に効果的なのは、ブレストで出た意見を整理する場面です。
ブレストでは、自由に意見を出すことが重要です。その段階で細かく分類しすぎると、発想が狭くなってしまいます。
一方で、出てきたアイデアをそのままにしておくと、何が重要なのか、どこから検討すべきなのかが見えにくくなります。そこで、似ている意見をまとめ、足りない視点を確認し、具体策へ落とし込むためにロジックツリーを使います。
発散したものを整理し、次の議論につなげる。これがロジックツリーの実務的な使い方です。
考えを分解すると、次にやることが見えてくる
ロジックツリーのよいところは、漠然とした課題を、手をつけられる大きさまで分解できることです。
「売上が伸びない」「人が足りない」「会議が進まない」といった課題は、そのままでは大きすぎます。大きすぎる課題は、考えているうちに疲れてしまい、結局何も決まらないことがあります。
課題を分解すると、どこに問題があるのか、どこから手をつければよいのかが見えやすくなります。これは事業計画づくりでも、補助金申請の計画整理でも、プロジェクトミーティングでも同じです。
会議で出た意見を、その場の思いつきで終わらせない。課題を分解し、整理し、次の行動につなげる。ロジックツリーは、そのための基本的な道具として使えます。
まずは、いま抱えている課題を一つ選び、紙やホワイトボードに書き出してみてください。枝分かれさせていくうちに、頭の中だけで考えていた時には見えなかった論点が見えてくるはずです。
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