マーケティングは、広告や販売促進だけではない
「マーケティング」と聞くと、広告、SNS、ホームページ、キャンペーン、販売促進などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん、それらもマーケティングの一部です。
しかし、私は大学や企業研修で以前から、「マーケティングは一部の専門部署だけが使う技術ではない」と伝えてきました。営業担当者だけのものでも、広告担当者だけのものでもありません。
もっと広く考えると、マーケティングは、相手を理解し、自分が提供できる価値を考え、それを相手に伝え、選んでもらい、その後もよい関係を続けていくための考え方です。
だから私は、マーケティングを「生きるチカラ」だと考えています。
ものすごく簡単にすると、この6つ
難しい言葉を使わずに、マーケティングの流れを整理すると、私は次の6つで考えています。
相手を知る
↓
自分の強みを知る
↓
相手にとっての価値を考える
↓
伝える
↓
選んでもらう
↓
関係を続ける
まず相手を知る。相手が何に困り、何を求めているのかを調べる。次に、自分や自社には何ができるのか、どんな強みがあるのかを知る。その二つを重ねて、相手にとってどんな価値を提供できるかを考える。
そして、その価値を分かるように伝え、最終的に相手から選んでもらう。さらに、一度選んでもらって終わりではなく、その後も関係を続ける。
広告は、この中の「伝える」の一部です。販売は「選んでもらう」に近い部分です。つまり、広告や販売だけを見ていると、マーケティング全体のごく一部しか見ていないことになります。

就職活動も、恋人探しも、同じ流れで考えられる
この考え方を学生に教えるとき、私は就職活動や恋人探しにも置き換えて説明してきました。少し乱暴な例ですが、マーケティングが商売だけの話ではないことがよく分かります。
就職活動なら、まず応募する会社を知る。次に自分の強みや経験を知る。その会社にとって自分がどんな価値を提供できるかを考え、エントリーシートや面接で伝える。そして採用してもらい、入社後も会社や周囲の人と関係を築いていく。
恋人探しでも同じです。相手のことを知らず、自分のことも分からないまま、一方的に自分のよさだけを話しても、なかなかうまくいきません。相手が何を大切にしているのかを知り、自分のよさを押しつけではなく相手に伝わる形で示し、選んでもらう。そして付き合い始めた後の方が、むしろ関係づくりは大切です。
こう考えると、相手がいる場面では、ほとんどどこでもマーケティングの考え方が使えることが分かります。
中小企業経営では、ほとんど全部に使える
中小企業では、経営者自身が営業、採用、社員への説明、取引先との交渉、新商品づくりなど、さまざまな役割を担います。だからこそ、マーケティングを「広告の話」だけにしてしまうのはもったいないと思います。
営業――商品説明の前に、相手を知る
営業で自社の商品やサービスの説明から始めてしまうことは珍しくありません。しかし、本当に大切なのは、その前に「この会社は何に困っているのか」「なぜ今それが問題なのか」を知ることです。相手を知らずに話す商品説明は、相手にとっては単なる売り込みになりがちです。
採用――会社が言いたいことではなく、働く人にとっての価値を考える
採用も同じです。「当社は創業○年です」「こんな事業をしています」と会社側が言いたいことだけを並べても、応募者が知りたいこととは限りません。その人にとって、この会社で働くことで何が得られるのか。成長できるのか、どんな仲間と働くのか、どんな仕事を任されるのか。相手から見た価値を考える必要があります。
社員への説明――伝えたことと、伝わったことは違う
経営方針や新しい制度を社員へ説明するときもマーケティングの考え方が使えます。経営者が話したからといって、社員に同じ意味で伝わったとは限りません。相手がどんな立場で聞いているのかを考え、相手に伝わる言葉に置き換える必要があります。
取引先――自社の都合だけでは、関係は続かない
仕入先や協力会社との関係も同じです。価格や納期を自社に有利にすることだけを考えていれば、短期的には利益が出ても、長期的な関係は続きません。相手にとっても付き合う価値のある会社になることが重要です。
新商品・新事業――「作れるもの」だけから考えない
新商品を考えるとき、自社の技術や設備から「これなら作れる」と発想することがあります。しかし、作れることと、売れることは別です。相手が欲しい価値と、自社の強みが重なるところを探す。その考え方がマーケティングです。
「自分が言いたいこと」から「相手が知りたいこと」へ
私は、マーケティングの考え方を身につけると、仕事の見方が少し変わると思っています。
「自分は何を売りたいか」ではなく、「相手は何を必要としているか」。
「自分は何を言いたいか」ではなく、「相手は何を知りたいか」。
「自社の強みはこれだ」ではなく、「その強みは相手にとってどんな価値になるのか」。
この視点の切り替えだけでも、営業、ホームページ、採用、社員とのコミュニケーションは変わります。
そして、一度選んでもらえば終わりではありません。お客様にも、社員にも、取引先にも、「またこの会社と付き合いたい」と思ってもらえる関係を続けるところまでが大切です。
難しい理論より、まず基本の流れを使ってみる
マーケティングには、STPや4Pなど、さまざまな考え方があります。今後このコラムでも、一つずつ取り上げていく予定です。
ただ、最初から専門用語を全部覚える必要はありません。まずは何かを決めるときに、「相手を知っているか」「自分の強みを分かっているか」「相手にとっての価値になっているか」「きちんと伝わっているか」と考える。それだけでも十分にマーケティングの第一歩です。
相手がいるところには、マーケティングがある
マーケティングは、マーケティング担当者だけが覚えればよい専門技術ではありません。
相手を知る。自分を知る。相手にとっての価値を考える。それを伝える。選んでもらう。そして関係を続ける。
商売でも、営業でも、採用でも、社内でも、就職活動でも、人との関係でも、この基本は変わりません。
だから私は、マーケティングを「生きるチカラ」だと考えています。
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株式会社アイズでは、広告や販促だけでなく、「誰に、どんな価値を、どう伝えるか」というマーケティングの基本から一緒に整理しています。
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