黒子で終わらない、アイズ流ファシリテーション

参加者のベクトルがそろい、プロジェクトが前に進むイメージ

ファシリテーターは、ただの進行役ではない

ファシリテーションというと、会議の進行役や、参加者の意見を公平に引き出す役割を思い浮かべる方が多いかもしれません。確かに、場を整え、意見を整理し、話し合いを進めることは大切です。

しかし、実際のプロジェクトでは、それだけでは前に進まない場面があります。意見は出ているのに決まらない。決まったはずなのに動かない。参加者の立場や温度感が違い、話し合いが同じところを回り続ける。こうした場面では、単に中立な進行役でいるだけでは足りません。

アイズが考えるファシリテーションは、黒子のように場を支えるだけではなく、プロジェクトが前に進む条件を整えることです。参加者の気持ちや立場を尊重しながら、目的に向かって話し合いと行動をつなげていく。その意味では、従来の「中立な進行役」というイメージよりも、もう少し踏み込んだ関わり方になります。

中立であることと、何もしないことは違う

ファシリテーターは中立であるべきだ、と言われることがあります。この考え方自体は重要です。特定の人の意見だけを優先したり、立場の強い人に引っ張られたりすれば、場の信頼は失われます。

一方で、中立であることは、目的に対して何の意思も持たないということではありません。プロジェクトには、達成したいゴールがあります。事業を前に進めたい、課題を解決したい、新しい施策を形にしたい。そこに向かって進むためには、時には議論を整理し、時には問いを投げ、時には不足している視点を補う必要があります。

アイズ流ファシリテーションでは、参加者一人ひとりに対しては公平でありながら、プロジェクトの目的に対しては責任を持つ。この姿勢を大切にしています。場を乱さないために黙っているのではなく、場が前に進むために必要な働きかけを行うということです。

プロジェクトの成否を握るのは、目標共有とモチベーション

プロジェクトがうまく進むかどうかは、メンバー全員の目標共有とモチベーションに大きく左右されます。どれだけよい計画があっても、参加者が目的を理解していなかったり、自分ごととして受け止められていなかったりすれば、実行力は高まりません。

この状態は、ベクトルで考えると分かりやすいと思います。モチベーションはベクトルの長さ、目標の共有はベクトルの向きです。一人ひとりの力が大きくても、向いている方向がばらばらであれば、プロジェクト全体の推進力は弱くなります。反対に、同じ方向を向き、それぞれの力が合わさると、プロジェクトは前に進みやすくなります。

ファシリテーションの役割は、このベクトルをそろえることです。誰が何を考えているのか。どこに不安があるのか。何を実現したいのか。そうした見えにくいものを言葉にし、共有し、方向を整えていくことが重要になります。

メンバーのベクトルがそろうことでプロジェクトの推進力が高まる図

アイズ流ファシリテーションの4+3

アイズ流ファシリテーションは、基本となる4つの要素に、相手の状態に応じた3つの関わり方を組み合わせて考えます。場を整えるだけでなく、目的に向かって人と議論と行動をつなげていくための考え方です。

基本となる4つの要素は、目的を明確にすること、安心して意見を出せる場をつくること、出てきた意見を整理すること、決定事項を実行につなげることです。会議を開くだけでなく、目的、対話、整理、実行までを一連の流れとして設計します。

そこに加わる3つの関わり方が、カウンセリング、コーチング、ティーチングです。話を聴いて不安や本音を引き出す。問いによって自分で考えられるようにする。必要な知識や視点はきちんと伝える。相手の状態によって、これらを使い分けます。

ファシリテーションは、ただ参加者に自由に話してもらうだけではありません。必要な時には受け止め、必要な時には問い、必要な時には教える。その組み合わせによって、場は前に進みます。

アイズ流ファシリテーションの構成要素を示した図

黒子ではなく、黒幕という言葉に込めた意味

「黒子より黒幕?」という表現には、表に出て目立つことが目的ではないけれど、プロジェクトが動くための流れを裏側でしっかり設計する、という意味を込めています。

もちろん、誰かを操るという意味ではありません。むしろ反対です。参加者が自分の意思で動けるように、目的を見える化し、意見の違いを整理し、合意形成を助ける。その結果として、プロジェクト全体が自然に前へ進む状態をつくります。

黒子のように支えるだけで終わらず、必要な場面では一歩踏み込む。参加者の納得を大切にしながら、ゴールへ向かう道筋をつくる。これが、アイズ流ファシリテーションで大切にしている考え方です。

第三者だからこそ、言えることがある

社内だけで進めるプロジェクトでは、立場や役職、人間関係の影響を受けることがあります。本当は言いたいことがあるのに言えない。上司の意向に遠慮する。部門ごとの事情がぶつかる。こうしたことは珍しくありません。

第三者が入る意味は、単に外から意見を言うことではありません。社内の人だけでは見えにくい前提を確認し、言葉にしにくい違和感を拾い、必要に応じて翻訳することです。経営側の思いを現場に伝える。現場の不安を経営側に伝える。部門間の認識のずれを整理する。こうした橋渡しが、プロジェクトの進み方を変えます。

外部のファシリテーターがいることで、参加者が少し話しやすくなることもあります。利害関係の中心にいないからこそ、問いを立てやすく、整理しやすく、時には率直に指摘しやすくなるのです。

ファシリテーションは、会議の技術ではなくプロジェクト推進の技術

ファシリテーションは、会議をうまく進めるためだけの技術ではありません。会議で出た意見を整理し、合意をつくり、次の行動につなげるためのプロジェクト推進の技術です。

目的を共有する。参加者の思いを引き出す。違いを整理する。必要な知識を補う。決めるべきことを決める。そして、次に誰が何をするのかを明確にする。こうした積み重ねが、プロジェクトを前に進めます。

黒子で終わらないファシリテーションとは、目立つことではありません。場の主役は、あくまで参加者です。ただ、その参加者が力を発揮できるように、見えないところで場を設計し、必要な時には前に進むための働きかけをする。そこに、アイズ流ファシリテーションの役割があると考えています。

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